ハッスル・リポート
初議会を終えて
 去る4月27日に施行された東京都東久留米市の市議会議員選挙において、初当選を果たしました宮川豊史と申します。 どこの政党にも所属しない、支援組織も全くない私に、市議会議員として活動するチャンスを与えてくださった市民の皆様に、 心より感謝申し上げます。

 私は今回の選挙で、障害を持つ当事者の立場から福祉サービスを見直すこと。 特定の政党によらない、市民の意識と市民の価値観を持った市民の代表として新しいまちづくりを実現すること。 「形」だけのバリアフリーではなく、「心」のバリアフリーによって、障害のあるなしに関わらず、 誰もが住みやすい真のバリアフリー社会を目指すことを公約に掲げました。 これらの公約を実現すべく、市議会議員としての責務を果たす事が私の使命だと考えています。

 先日、選挙後初の市議会定例会が開かれました。 新人議員にとっては、自分の主張をアピール出来る最初の大舞台です。 市議会の定例会は3月・6月・9月・12月の年4回開かれ、一定例会の会期は約2週間です。 今回の定例会は6月6日から20日までの15日間の会期で、様々な議案に対する審議が行われました。
 この定例会に臨むにあたり、まず私が解決しなくてはならなかった問題は、 目が見えないというハンディキャップをどのように克服するか、ということでした。 私は高校1年の時に白内障と網膜剥離の併発により視力を失い、視覚障害者となりました。 全盲の私が他の議員同様に議員活動を行うためには、議会と行政に対していくつかの配慮を求めなくてはなりませんでした。
 一つは、議会内でのコンピューターの使用です。 普段私が文章を読み書きする場合、画面を読み上げるソフトが組み込まれたコンピューターを使用しています。 議会内で配布される資料に迅速に対応するためには、このコンピューターの持ち込みが不可欠です。 しかし、既存の法律では議会内でのコンピューター使用について、明確な規定はありません。 よって、議会内へのコンピューターの持ち込みについて、議会の皆様に検討して頂く必要がありました。
 もう一つは、電子データ化された書類の提供です。 電子化された文章であれば、目が見えない私でもコンピューターを通じて自由に読む事が出来ます。 議案やそれに関する資料など、議会で扱われる書類は膨大な量になります。 それらの書類に対応するために、文章を可能な限り電子かし、 そのデータを電子メールやフロッピー・ディスクなどによって提供して頂く必要がありました。
 市職員や他の議員の皆様には、これらの要望について検討する話し合いの場を、何度となく設けて頂きました。 その結果、私の要望の主旨をご理解頂き、議会内へのコンピューターの持ち込みと議案などの必要書類の電子データによる提供を認めて頂きました。 今後、視覚障害者の社会進出を進める上で、IT技術の活用は不可欠です。
それを行政と議会の皆様に認識して頂いたこと、そして私自身がそれを実践することこそ、 私の議員としての第一歩であったと思います。

 こうして迎えた初の定例会。重要な案件が次から次へと議決されて行く、その流れの速さに圧倒されました。 東久留米市議会の議員定数は24名です。 私の存在は24分の1に過ぎませんが、議案によっては私の一票で可否が決まるものもあります。 そのような議案に対する賛成か反対かの意志表示をする挙手の瞬間は、緊張は最高潮に達しました。

 その他、定例会では各議院に一般質問の時間が与えられます。 1時間の持ち時間の範囲内で、行政側に対して様々な質問をすることが出来ます。 私は「東久留米の将来像について」と題して、総括的に10項目ほど質問しました。 壇上に上がった瞬間、このような場で発言する機会が与えられた事を大変光栄に思いました。 しかし、質問を進めて行くうちに、徐々に議会という沈黙のプレッシャーを感じました。 その時議会で発言しているのは私だけということ、それをすべての議員が聞いているということ、 そして私の発言が記録され、議事録に残ること。これらのことが、 壇上で発言している最中に私の内面に津波のように押し寄せたのです。 議会には独特の生きた流れがある、と感じた瞬間でした。 1時間の質問時間が終了した時は、その流れに完全に飲み込まれていたと思います。 議会とは、計り知れない空間であると感じたと共に、議会内での発言の重さ、議員の責務の重さを痛感しました。
 議会はあくまでも最終決定機関です。その場でいきなり新しいものを産みだそうとしても、それは出来るものではありません。 議員活動は毎日の積み重ねが重要であり、議会に至るまでにどのような議論を尽くし、準備を整えるかが大切なのです。 市議会議員の任期は4年と限られています。 その限られた時間の中で結果を出すために、一回ごとの定例会を意義深いものにしなくてはなりません。 次回の定例会では、今回の反省を活かし、議会の生きた流れに即した質問を出来るように、万全の準備を整えたいと考えています。

 議員となってからまだ三ヶ月ですが、この間多くの貴重な経験をさせて頂きました。 この経験を積み重ね、市民による市民のためのまちづくりを実現出来る「100%市民派」の議員になれるよう、最大限の努力を尽くして参ります。

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